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zoom RSS 新雪の八方平を彷徨う(平成26年11月16日)

<<   作成日時 : 2014/11/16 21:22   >>

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 笹谷峠までの車道は冬期通行止めになっていた。関沢インター脇の駐車場には何台もの車が見えた。自宅から眺める龍山はすっぽりと雪に包まれていた。1000mを越えればどこでも雪のようだ。北蔵王の八方平から蔵王の山並みを眺めてみたくなった。12時を回っているから南雁戸は無理だろう。新車にしてブドウ沢までの山道は大丈夫だろうか。大きな落石がゴロゴロしている。やはり腹を擦ったようだ。それでも熊がいます、の標識を右折して登山口まで乗り入れた。もう雪が積もっていた。スパッツを履いて、目出し帽を被った。沢の音がここまで聞こえる。沢沿いのブル道を早足で歩き出す。沢を渡ると一面に雪が積もっている。
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 徒渉2度目で転倒した。水面に顔を出すくらいの漬け物石くらいのに石に右足を載せたら、浮き石だったようでバランスを崩した。右膝を打って、左足と左腕の肘から下が濡れた。左の靴は中まで水が入ってしまった。靴下の替えは持っていない。かまわず進んだが、これが撤退の原因となった。
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 沢を渡るとブナ林はすっかり葉を落として、枝が何本もの手を伸ばす。雪深い春にこのブナ林に迷い込んで沢の奥に迷い込んだ。今日はすぐに支尾根を目指す。左側に回り込むようにして九十九折に高度を上げると雁戸が枝間から顔を出した。
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 稜線を頭上に直登せずに、微かに見える山道をつま先を蹴り込みながら進む。太い根が絡まる稜線からはさらに勾配は増し、立ち止まってアイゼンを付けた。なにげにGPSをみると赤く引かれたルートから大きく外れていた。かまわず登るとピンクテープも見つけた。
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 見覚えのあるツツジの木にも出会った。足場を確かめながら先を急いだ。 足跡は動物だけのようで新雪に自分だけの踏み跡を残すのは楽しい。振り返ると降り積もった雪が晩秋の柔らかな日を映していた。
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 北蔵王の主稜線は青空の下、輝きだした。急な登りを終えて標識も確認できた。GPSのルートとやっと一致できた。クロベを過ぎるとブナ林が出迎えてくれる。このコース一番の長閑な道だが、今日は違っていた。
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 傾斜があるならば、夏道を辿ることはそんなに難しくはない。それは人が最も歩きやすように作られているから、安全で歩き易い方に足を運べば自ずと夏道に出るものだ。しかし、傾斜が緩くなるとそうでもない。クロベを過ぎて真っすぐ歩こうとすると、右側に高みのある山肌をトラバースするようになって、知らず知らずにその山肌を下っていた。目標の小屋は右手にあるのに左側の沢に引き寄せられてしまう。迷いようになった時は稜線を見つけて登ることにしよう。もう夏道を探そうとはせずに、山肌を登る。その先は雪を被った薮の連続だった(続く)。
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 主稜線との交点は西北西の方角だとGPSでわかった。それでコンパスを出して進む方角を確かめたが、積もり始めた雪原は真っすぐ歩くには薮が多すぎた。仕方なく歩きやす所を探して彷徨うことになった。時折、強い風が吹き、雪は膝まで隠す。濡れた左足が痛くなってきた。夏道ならば30分もかからずに小屋まで行けるのに、少しは歩き易い所はないかと尾根を外したが、夏道は見つからなかった。
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 ここまでとザックをおろした。暖かかったミルクティーはもうさめていたが、甘く疲れを忘れさせてくれた。帰りは踏み跡を忠実に辿った。アイゼンを付けたままで沢を渉ろうとして何度も水に浸かった。寒くはなかった。途中敗退の山行だった満たされた気分で下山した(完)

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コメント(6件)

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いよいよ雪ですねぇ 羨ましいです
http://jinennan.blog.fc2.com/
jinen
2014/11/20 16:19
jinenさん、こんばんは。
例年より早い山の積雪です。登山口までの車道はまだ雪がないので、葉山辺り登りたいと思ってます。
jinenさんのブログも読まさせてもらいます。
また、よろしく。
HITOIKI
2014/11/20 21:29
途中敗退の山行だった 満たされた気分で下山した(完)

・・・僕にはとても書けない文体というか 風情がありますね。
こういう文章、落ちつくというか和むというか お目にかからないです。
こちらには初めてですが また 寄らせてください。
tabi-syashin
2014/11/26 15:59
tabi-syashinさん、こんばんは。
お褒めのお言葉、ありがとうございます。山を始めて7年、ブロガーになって3年の若輩者ですが、文体についてコメント頂いたのは始めてです。とても嬉しく思います。山での出会いは楽しいのもので、その思いを文章にすると喜んでもらったことはありますが、単独行では自分との対話や自然との対峙となり、それを言語化するのは難しくもあり、楽しいものでもあります。これから山が最も輝く季節となります。途中敗退は結果ですが、いつかは頂きに立ちたいとの思いは捨てないで精進したいです。
HITOIKI
2014/11/26 21:04
たしかに単独行では会話はないですね(笑) にしても・・・描写に微細な心が映るとブログの味に変化が出てくるのがよくわかりました。感情の移ろい、言葉の持つ繊細な部分などで味に深みも増すというもの。 途中で引返しても、シーズン初の白い世界に出会えて今日の俺は満足した 心の内を吐露するブログってなかなか出会えません。完璧だ!とかピーカンだ!とか最高だった!とか 或いは、教えてあげるスタイルにはもうウンザリですもんね(笑)渋い年齢には渋い表現が、僕も勉強させてもらいますっ!
tabi-syashin
2014/11/27 11:29
tabi-syashinさん、こんばんは。
半年くらい前までは、一回の山行を数回に分けて、ほぼ毎日ブログを更新していました。そうすると、読む方は大変で、別の山行をバラバラに読まされました。そこで最近は1山行、1ブログとしました。それで、書く時間も減ってしまいました。それとコースタイムもなくしました。年取ると(57歳)タイムは関係ないかなと感じます。心の内を花鳥風月と揶揄する向きもありますが、人それぞれ山に期待するものは様々でいいように思ってます。ブログは言葉が命でその次が写真かなと思って、なるべく手抜きしないようにしたいです。それと山の案内文にはならないように、ブログを続けるうちに心がけるようになりました。
HITOIKI
2014/11/27 21:03

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