水芭蕉咲く月山(令和元年6月9日)

 志津キャンプ場と道路を隔てた大きめの駐車場に車を停めた。僕以外には車も人影もない。道路を登ってくる車はわずかにキャンプ場に向かう他はそのまま上を目指している。僕は志津温泉脇の五色沼に下る。今日は山頂は目指さないから、ピンクテープのある方に釣られたりと、歩き始めから道草する。沼の脇を歩いて工事現場跡のような空き地を過ぎると登山口だ。一歩踏み入れると山毛欅の新緑が梅雨の雫をたたえ、空気の美味しさがすぐに感じられた。野鳥の声も嬉しい。
画像
 
 思ったより山毛欅林には雪は残っていなかった。ほとんど目印のないルートに残雪があれば苦労するかと覚悟してきたが、その心配がないだけ楽しみも半減しそうな複雑な気持ちでのんびりと進む。夏道の足を踏み出すその先々には朝顔の双葉のような芽が頭を出していた。中には冬の間眠っていたタネの殻を帽子にしている奴もいた。
画像

 急な登りがなくなって視野が開けると、雪原に新緑が眩しい。どこでも歩けそうだが、夏道を探して姥沢を目指す。すると直ぐにルートは斜面を横切るようになった。その内、土の道はなくなり雪の斜面の先は谷の方に誘う。簡易アイゼンを付けるが初夏の雪は柔らかくズルズルと横滑りする。下を見ると、白の上に並ぶ緑がまた僕を誘う。
画像

 姥沢小屋跡まで夏道を仮想してトラバースしようと奮戦するが、次第に斜面は急になり、時々出てくる藪を避けるために斜面の上に向かう事となった。その上は車道かと残念に思うが、稜線まで登るとそこは雪原だった。ロープが張られていて、危険箇所を登ってきたことが知れた。その雪原を少し行くと見通しが悪くなって、構わず進むと水芭蕉が咲いていた。
画像

 こんな所で水芭蕉に出会えたかと嬉しくなるとざわざわを気配を感じた。クマとは予想もせずに、さらに進めとそこは姥沢駐車場だった。ほぼ満車状態。ここで簡易アイゼンを脱いで、車道を少し登って、石跳沢の方に下る下山口を進む。そこで夏道はすぐに雪に隠れ、その夏道の進行方向の記憶も薄れ、ただ雪渓を登るとまた藪に出くわして、その藪には夏道らしき跡はない。僕のGPSには石跳沢へのルートは記されてない。
画像

 しまった、これでは車道を歩いて帰るしかないかと落胆して、気持ちは右往左往するが、来た道を戻って、雪渓を今度は横切ると上手い具合に夏道の階段に出会えた。そこから急降下して大門海沼脇の木道までは雪は少しあったが迷わずに来れた。分岐の標柱があって、予定では春木戸跡まで登るはずだったが、全く道がない。
画像

 雪原と新緑のルートはそそられるが、高低差もなく、ただ方向だけで進む自信はなく、幸い夏道が見える玄海広場の方に進むことにした。淵の雪渓を踏み抜いてから増水した沢を渡り対岸の雪渓を乗り越えてまた歩き出した。そこからはまた迷うことなく石跳川にでた。
画像

 大勢の下山者に出会った。みんな山菜採りの帰りのようだったが、熟年のハイカーらしき方も見受けられた。ここで終わりにしては情けないと思い、カワクルミコースを目指す。川を渡って階段を登るとまた雪渓となった。ここには踏み跡もあって迷わず進めば黄色と白の花々が咲き乱れる沼にひょっこりとでた。水芭蕉はわかったが黄色の花はたぶん地名になっているリュウキンカだろう。
画像

 カロリーを取って、さらに先を進む、地図では夏道は沢に沿ってあって、その沢の上流がカワクルミ沼のようだ。夏道は雪に隠れがちになり、迷いながらも沢から離れないように歩くとカワクルミ沼に着いた。水面にわずかに顔を出す水芭蕉の花が幼気だった。
画像

 そのまま進むめば、雪原と新緑の魔力に誘われ、あてどもない山行になりそうで、それはそれで来た道を折り返せばいいわけだが、もう十分満足したようで、姥沢での迷いも思い出されて、その先は宿題にして帰路に着いた。
画像

写真集はこちらからどうぞ
https://www.flickr.com/photos/153589008@N06/albums/72157709016580062/with/48036375253/

往路 2時間23分(姥沢駐車場まで) 復路 3時間48分
歩行距離 11.41km
総上昇 633m

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック