アイヒュンドルフ『フリードリヒの遍歴』(すばらしい光の中で)

集英社 世界文学全集9 72頁
「過ぎ去ったあらゆる体験が、厳格さと品位を高めた形で、もう一度われわれのかたわらを通りすぎてゆく。そしてあふれんばかりの未来が、これら過去の形象のうえに朝やけのようにはなばなしくひろがり、こうして予感と追憶から新しい世界が生まれて、われわれは見おぼえのある土地や人物をふたたび眼前にするのであり、しかもそれが別のすばらしい光の中でずっと大きく、美しく、力強いものになっている。」
 幸せの定義のような記述だが、これに先立つ物語には「森のざわめき、あたりの鳥の鳴き声、子供のころ以来すっかり遠ざかっていた田園への逃避、そういったすべてのことが彼の胸のなかに永遠の感情をよびおこした。」とある。森、鳥、田園は現在の私の身近にあるものばかりだ。もっと光があれば、美しく、力強いものが得られるのだろうか 。それとも、光の中でそのように見えるだけなのだろうか。

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